みにくいあひるのこ

 お正月に母の実家に帰り、久しぶりに大勢の親戚に会った。

「おお! マキちゃん! 綺麗になったなぁ」
「すっかりお姉さんになって」
「びっくりしたよ」
「本当! まるで別人みたいよ」

「あ……ありがとうございます」

 照れながらも何とかお礼を言う。
 まるで見世物になった気分だが、お母さんが(ほこ)らしそうなので、我慢する。

 たしかに私の幼い頃の写真を見るとお世辞にも「かわいい子」とは言えなかった。
 親戚にはその時のイメージが強いのだろう。
 (おさな)過ぎたせいか、その頃の記憶がないので、親戚ともほぼ初対面の気分だ。

 居間のテレビでお正月特番が流れている。

 ──さて、神奈川県で庄野亜希ちゃん、当時四歳が行方不明になってから早くも十年が経ちます。

 ──番組では特別に最先端のCGとAI技術を使い、現在十四才になった亜希ちゃんの画像を作成致しました。

 画面に映し出されたのは、私の姿だった。
 凍りつく居間。

 ──お心当たりのある方は番組まで情報を……とアナウンサーが言いかけた所で母がテレビのチャンネルを変えた。

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【解説】
別人の様に美しく成長した少女は本当に別人でした。

心当たりのありそうなお母さん……いえ、誘拐犯と娘の過去には一体何があったのでしょう?
アンデルセンの美しい童話、「みにくいあひるのこ※」の様にはいかなかったようです。

※「みにくいあひるのこ」とは、童話作家アンデルセンによる童話。
外見がみにくいために、他の兄弟にいじめられていたヒナが、成長して美しい白鳥になるというお話です。