にじゅうしせっき文芸部


・【にじゅうしせっき文芸部】


 僕はこの図書館に来ると”冬至”という名札を付ける。
 変なあだ名を付けられない配慮らしい。
 この図書館では二十四節気や八百万の神様に郷土料理など、いろんな名札が用意されていて、そこから自分で選んで付けるシステムになっている。
 何でそんなたくさんの種類があると言えば、一度決めた名札は高校を卒業するまで付けるから。だから冬至は、えっと僕が小学六年生なので、もうここから向こう七年くらいは僕の専用名札だ。
 冬至を選んだ理由は単純に冬至に生まれたからだ。冬至がちょうど空いていて良かった。
 そんなちょっと変わった図書館では、これまた変わったイベントというかサークルが用意されている。
 それは二十四節気や八百万の神様というジャンル別に文芸サークルをするという試みだ。
 一応僕たちは”にじゅうしせっき文芸部”というくくりになっているが、誰も一緒になって何かするという形にはなっていない。
 それもそのはず。別々の小学校の人たちがなんとなく選んだ名札でくくられているため、別に仲も良くないのだ。
 でもまあ円卓というか、何か創作活動する時は同じようなスペースでするように決められるため、今日も隣は川柳が好きな小寒だ。
 僕は小説を書き、小寒は川柳を書いている(作っている)。
 ふと僕は小寒へ、
「何かコラボできたら面白いのに」
 と言ってみると、小寒は頷きながら、
「コラボとかやってみたいよね」
 と好意的な反応が返ってきたので、僕はすかさず、
「例えば、小寒の川柳を膨らませて僕が小説にしてみたり」
 すると小寒は違うといった感じに顔を横に振り、
「最初の五文字を冬至が考えるとかだよ」
「いやでも小寒の完成された川柳を始まりに、小説を書くでもいいじゃないか」
「それは良くないよ、だって川柳は一句でもう完成されているんだから。冬至が小説の感性で五文字考えてみてよ」
「五文字で小説の感性は出しづらいよっ」
 とツッコむような、冗談のような感じで言ったんだけども、小寒は少し不機嫌そうに、
「でもぼくの川柳を誤読されても嫌だなぁ」
 と言ったその時だった。
 この円卓のもう一方の隣にいる大雪が、
「いや誤読は楽しむもんなんだぜ」
 と僕たちの会話に割って入ってきた。
 大雪は続ける。
「おれのような現代詩も、多分川柳だってさ、全てが全て正しく読み解かれてもつまらないじゃん。こんな解釈あったんだという発見も楽しいもんだぜ。だから冬至、それならおれとコラボしようぜ。俺の現代詩を小説で読み解いてくれよ」
 するとさっきまで難色を示していた小寒が、
「ぼくが誘われたんだよぉ」
 と抵抗し始めて、大雪はムッとしながら、
「いいじゃん、川柳ってたった十七文字で完成しているんだろ?」
 小寒はあからさまに嫌な顔をして、
「たった十七文字ってなんだい、川柳の短さはワビサビだよ。ポエムなんてだらだら書いちゃって」
 大雪はちょっとドスの利いた声で、
「ポエムって言うなや、現代詩はポエムとは全然違うんだよ」
「一緒じゃん」
「違ぇよ、舐めんなよ」
 どうしよう、ちょっと喧嘩腰になってきている。
 ここは空気を変えないと!
「と! いうかぁ! 今度このにじゅうしせっき文芸部でネット文芸誌をやらないっ? みんな各々でやっているけども、一回まとまってnoteとかでネット文芸誌をアップロードできたら素敵だねぇ!」
 この周辺の、にじゅうしせっき文芸部近辺のテーブルが静まり返った。
 その静寂を貫くのは、春分の万雷の拍手だった。
「すごい! すごく良いです! 私は是非ネット文芸誌やってみたいです!」
 そう声をあげた春分に、周りのメンバーも続々と、
「悪くないかもな」
「ガチの作品作ってみるのもいいな」
「まあ俺が一番面白いけども」
「あ? アタシだし!」
「いやとにかくやってみていいなぁ」
 咄嗟に叫んだだけの話だったけども、意外と好意的に受け入れられている!
 そのおかげで、大雪と小寒の小競り合いも終わったみたいだ。ホッと一息。
 同じ円卓の立冬が、
「すごいこと考えていたんだねっ」
 と笑顔で言ってきたんだけども、実際は思いつきを発しただけなんだけども、まあいいか。
 小雪は悔しそうに、
「この件はすっぱ抜きたかったなぁ!」
 いや今一瞬で思いついたことだからなぁ。


・『円卓』


1:立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨
2:立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑
3:立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降
4:立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒


・『それぞれの創作ジャンル』


夏至・冬至:小説
立春・立秋:児童文庫

芒種・大雪:現代詩
雨水・処暑:ポエム

大暑・大寒:短歌
立夏・立冬:俳句

穀雨・霜降:ラジオドラマ脚本
啓蟄・白露:ネット長文

小暑・小寒:川柳
清明・寒露:ネットライム

春分・秋分:エッセイ
小満・小雪:ネットニュース





 さて、でも何かワイワイと活気が出てきたし、実際にネット文芸誌というものは楽しそうだし、小寒と大雪の喧嘩も無くなったし、ラッキーだなぁ。
 言った手前、どういうのがいいかな、テーマとかあったほうがいいかな、でも最初は自分の自信作を自由に使えたほうがいいかな。
 そんなことを考えていたその時だった。
 別の円卓の大暑が手を挙げながら立ち上がり、こんなことを言い出した。
「じゃあ巻頭はおれの大暑短歌にするから」
 周りのみんなはポカンと口を開けて固まってしまった。
 大暑は続ける。
「おれの熱い短歌から始めれば絶対盛り上がるからな」
 と自信ありありだが、すぐに夏至が、
「こういうのは文芸で一番人気のある小説がやるに決まっているじゃん。そしてその小説の中でも俺の夏至小説がやると良い。何故なら冬至は言い出しっぺだから言い出しっぺが巻頭じゃマッチポンプ感あり過ぎだから」
 大暑は夏至に睨みを利かせながら、
「いや今は短歌ブームなんだよ」
 夏至も負けじと、
「小説はずっとトップランナーじゃん」
 すると割って入るように、小満が、
「いや巻頭はグラビアってイメージもあるから、おれっちが良いモデルの写真とナイスな文章を書いてやろうか?」
「小満のはずがない!」
 と大暑と夏至がユニゾンして、小満は小さな声で「チェー」と言った。
 まさか巻頭を巡る争いが勃発するなんて。順番ってあんま考えていなかったなぁ。
 でも確かにマンガ雑誌とかでも、前のほうが人気で、後ろのほうが打ち切り候補とか言うもんなぁ。
 だからって、と僕は、
「前のほうが人気とかそういうのは初回だからないでしょ!」
 とツッコむように声をあげると、小満が、
「でもさ、巻頭は絶対人気のあるヤツだよなぁ」
 と言い、それに対して夏至が、
「だから小満のネットニュースみたいなのは絶対違う」
 小満は「いやいや」と言ってから、
「やっぱグラビアなんだよな、巻頭は。おれっちがおれっちへのインタビューを載せるとかいいじゃん」
 夏至は怒り百パーセントで、
「そんな軟派な文芸誌には絶対しない!」
 小満は構わず、
「いやでもおれっちのネットニュースへのこだわりとか知りたくない?」
 矢継ぎ早に夏至が、
「知りたくねぇし! ネットニュースはそもそも文芸じゃない!」
 小満は自信満々に、
「ちゃんと芸だね、文で表現する芸」
 また夏至がデカい声を出しそうだったので、僕は割って入るように、
「まあまあ! とりあえず作品を書いてから細部はこだわっていこうよ!」
 と言ってみると、大暑が余裕そうに、
「まっ、そういうことだよなっ」
 小満は鼻で笑いながら、
「書けない夏至をすっぱ抜いてやろうかなっ!」
 夏至は即座に、
「速筆だわ!」
 と返していた。
 なんとか一旦収まったみたいだけども、周りの表情を見ると、自分だって巻頭だみたいな顔をしていた。
 う~ん、まあやる気満々なことはいいけども、もうちょい協調性というか、そうだ、
「くじで決めてもいいし」
 と観測的気球のように言ってみると、今まで黙っていた芒種が、
「絶対! 実力っしょ!」
 と声を荒らげ、周りもそれに同調しているようだった。
 実力とか、そんなん決められるものじゃないと思うけども。
 どうしよう、まず作品を完成させなきゃなのに、作品ができたとて、だ……。


・【僕と夏至】


 というわけで、とりあえず作品をそれぞれ作ることになった。
 ネット文芸誌なので文字数を気にする必要は無いということになった(僕の声掛けでそうした)。ジャンルによって適性の文字数って違うからね。
 まずは僕と同ジャンルである小説が好きな夏至は何を書くのか、ちょっと聞いてみることにした。
 席を移動して、イスを持って夏至の隣に座るなり、夏至がこう言ってきた。
「どっちにしろ順番は俺のほうが先だからな」
 でも、と僕は、
「巻末という締めを担当する時は後ろのほうがいいけどね」
「じゃあその場合は俺が巻末する。だけどまあ巻頭は俺の小説だろうけども」
 どこからそんな自信が。まあそのことはいくら言っても水掛け論だから、
「やっぱり夏至は夏至を絡めた小説を書くの?」
 と僕が聞いてみると、夏至は小首を傾げながら、
「この名前に絡めた小説? 夏の小説ということ?」
「というか夏至の小説さ。夏至もいろいろイベントごとがあるじゃないか」
「逆に冬至って何かあるのか? というか何? 冬至とか夏至って」
 何だか何も知らないようにそう言うので、僕はちょっとビックリしてしまった。
 もしかすると、夏至も冬至も知らない? 一応二十四節気の中では有名なほうだと思うけども。
 僕は改めてといった感じに咳払いしてから、
「夏至は一年で最も昼が長く、夜が短い日のことだよ」
「何か意味あんのっ!」
 めっちゃ目を見開いた夏至。
 いやいや、
「あるよ、二十四節気というのは、一年を二十四個に分けたそれぞれの括りだよ。夏至は新暦で6月21日~7月6日くらいだよ」
「何それ! 初夏で爽やかじゃん!」
「いやまあそうだけども」
 何だか夏至はウキウキしながら、
「じゃあ冬至も何かあるのか!」
「僕の冬至はその真逆で、昼が一年で最も短い日だよ。12月22日~1月4日くらいだよ」
 すると夏至は少しムッとしながら、
「ズル! イベント山盛りじゃん!」
「ズルくないよ、普通にその名札が空いていたから選んだだけだよ。僕誕生日が1月1日だし・夏至のほうが先に図書館利用していたでしょ」
「いや夏が付いていてカッコ良かったからさ。そうしたら読み方が”げし”で、何かゲジゲジっぽくて嫌なんだよな!」
「そう言えば、夏至と冬至は対を成す存在で、さらに実は季節の行事とかもちょっとだけ繋がりがあると言えばあるんだよ」
「繋がりぃ?」
 まあ僕が自分で気付いた繋がりなので、まずはみかんの説明をすることにした。
「夏至には夏みかんが獲れるけども、冬至はみかん風呂でみかんを楽しんだりするんだ」
「みかん風呂? 何か意味あんの?」
「食べたみかんの皮を干して風呂に浮かべると、美肌効果があるから冬に最適なんだ」
「へぇ、ちゃんと効果あるんだ」
「例えば、みかんを二人で小説のテーマにして、夏至は夏みかんの収穫を描いて、僕はその夏みかんでみかん風呂の話を小説にすれば、前後になるから絶対夏至のほうが先に掲載されるような立ち位置になるよ」
 結構良いアイデア出せたなぁ、と思っていると、夏至は拒否する面持ちで、
「いやそれだと俺がフリみたいになるじゃん、そういう冬至が得するパターンでの俺先は何か嫌だなぁ」
「それならさ、冬至の季節の動物で、大鹿という鹿がいて、まあ縄文時代から食肉していた動物なんだけども、その大鹿って夏至の季節の花である姫百合を食べるんだ。大鹿が食べても可憐に咲き続ける姫百合みたいに夏至を後にすることもできるよ」
「いや! 冬至に食べられるのは何か癪じゃん!」
 と声を荒らげた夏至。確かにそれはちょっと思ってもおかしくない。
 夏至は訴えかけるように、
「もっと俺が冬至を養っているみたいな感じない? 俺が絶対上なヤツ!」
「それだとトウガンの季節だね、夏に収穫して冬まで持ち越せる食材で、煮物にすると、実がとろけるようにほどけて、すごく優しい口当たりなんだ」
「トウガン? どんな字?」
「冬の瓜で、冬瓜」
「いや! 冬過ぎるじゃん!」
 それはもう本当にそうなわけだけども。言われることはもはや想定内なんだけども。
 夏至は深く頷いてから、
「やっぱ小説同士バトルして、どっちが先に掲載されるか勝負しないとダメだな」
 僕はう~んと唸ってから、
「でも小説とかそういう文芸って比べるものじゃないから」
「いやコンテストとかあるじゃん、文芸は昔から比べられているものなんだよ」
 すると夏テーブルにいる、芒種が、
「そりゃバトルしかないっしょ!」
 と煽ってきて、それに同調するように周りのメンバーも、
「小説バトルやればいいじゃんね!」
「全然投票とかするけども」
「いいじゃん、まず小説同士で開幕戦だぜ!」
 と口々にそう言ってきて、それに乗っかるように夏至が、
「じゃあ小説バトルやってやるからな!」
 と拳を突き上げると拍手が巻き起こった。
 もうやらないとか言えそうな空気じゃない。
 別に僕は掲載順が後ろでもいいんだけども、そもそも周りは勝負自体が見たいみたいな空気になっている。
 すると夏至がこう言った。
「でもまあ二十四節気つーのを知ったからさ、その夏至の中で俺も勝負してやるから! イベントだらけの冬至には負けねぇぜ!」
 何か大事(おおごと)みたいになってきた……。
 でもやるからには自分が納得するような作品は書きたいので、僕は冬至をテーマにした小説を考えることにした。
 それぞれ書き終えて、まずは夏至が自分の小説発表となった。
 公平を期すため、小説はAIが音声読みあげして、それを聞いて拍手で決めるということになった。


・『風鈴』


 修学旅行ではクラスで風鈴を作ることになった。
 私の家は双子の妹・百合が同じように成長していくため、少しだけ貧乏だ。
 みんな好きな綺麗なガラスの風鈴を選んでいくが、私と百合は一番安い、鉄の風鈴を選んだ。
 そのことを可哀想という目で見てくる女子や、言葉でしっかり揶揄してくる男子もいた。
 でも私と百合はお揃いの鉄で別に良いし、ぶらさげる短冊の文字で個性を出せるし、それでいいと思った。
 風鈴作りも終わり、まとめて先生が管理したところで事件は起きた。
 なんとクラス全員分の風鈴を入れていた箱がとある事故により、全て潰れてしまったのだ。
 綺麗なガラスの風鈴は全部ぐしゃぐしゃになったなか、私と百合の風鈴だけは鉄なので、しっかり形が残っていた。
 きっと私と百合の仲が良いからだ。
 私の名前は姫で、妹が百合、合わせて姫百合、夏至に咲く姫百合の花言葉が「強いから美しい」だ。
 その名の通りになったのだ。





 夏至は自信満々に頷くなか、小満が口を挟んだ。
「風鈴がぐしゃぐしゃになるところ、おれっちは唐突に思えるな」
 すると小雪が同調するように、
「確かに。アタシも何か変に急展開で違和感があった」
 夏至はムカッといった顔をしているが、言葉には出さない。
 あくまで審査してくれというような流れにしたのは自分だから。
 それにまだ僕の小説が残っているから、まだ余裕なんだろう。
 何かこうやっていろいろ言われるなら本当に嫌だなぁと思いつつも、僕の小説の読みあげがスタートした。


・『しゃぶしゃぶ』


 みんなで食べたしゃぶしゃぶで食あたりが起きた。
 雄介以外のメンバー全員、程度に差があれど腹痛になってしまったのだ。
 一番症状が酷い道夫が息も絶え絶えで、
「萌絵や雅子は大丈夫か?」
 私は頷きながら、
「うん、ちょっと痛いくらい」
 と答えて、雅子は雅子で「まあ、耐えられるかな」と答えた。
 道夫はかなり苦しそうに、雄介に向かってこう言った。
「オマエの部屋が汚いから、じゃないか?」
 そう、この部屋は雄介の部屋だ。でも部屋は一切汚くなく、むしろ綺麗だ。
 家主だから家主は家主の抗体菌を持っているとか、そういうことじゃなさそうだ。
 このしゃぶしゃぶ鍋の湯は片方、白濁したとんこつ味で、もう片方が赤いキムチ味のスープを入れている。
 そのことに触れたのが、雅子だった。
「実はキムチ味のほうに変な薬品が入っていたとか! 雄介、実はとんこつ味のほうしか食べていないんじゃないっ?」
 すると道夫が、
「いや、つーかキムチ味とかとんこつ味とか、市販のヤツを俺が買ってきて俺がそれぞれ入れたから、じゃあ犯人は俺になる……」
 雄介は溜息をついてから、
「豚肉を用意したのは萌絵だし、仮に薬品を入れたなら全員チャンスあんだろ。犯人が腹痛装ってる可能性もあるしさ。俺だけ身体が丈夫でさ。というか全部偶然かもだし」
 でも待てよ、確かとんこつ味とキムチ味という、しゃぶしゃぶのお湯に味を付けようと言ったのは雄介だ。
 もしかしたら!
 私はしゃぶしゃぶ鍋のスープを全部捨てて、その両方の仕切りと底を見たら!
「こっちの底には何か敷いている! もしかするとこの敷いてる金具が熱伝導率が低くて、こっちのほうはちゃんと沸騰していなかったっ? だから豚肉に火が通らなかったんじゃ! ほら、キムチつゆは赤いし、とんこつは白いし、豚肉が加熱できたかどうか色を分かりづらくしている! よく見たら、どっちかのほうは沸騰していないこと目視できたんじゃないっ? 気泡とかでっ!」
 道夫が、
「じゃあこの鍋を用意したのは雄介だから……」
 という言う間に雄介は観念して白状した。全員薄っすら嫌いだったと……。





 真っ先に小満が声を出した。
「おもろ! ちゃんと謎解きになってる! この正解、おれっちがすっぱ抜きたかったなぁ!」
 芒種も同調するように、
「めっちゃ良いっしょ」
 すると夏至が慌てながら、
「でも! 冬至のほうが文章が長い!」
 小雪が呆れながら、
「小説はこんなもんでしょ、アタシは断然冬至の勝ちだと思う」
 小満が音頭を取り、拍手の量で勝敗を決めた結果、僕の小説が勝ちとなった。
 夏至は悔しそうにしつつも、僕のほうへ近付いてきて、
「でもまあ俺の負けだ! 何でも従う! コラボこれからしてもいいし、掲載順も俺が後でいい!」
 と言ったわけなんだけども、
「別にそれぞれ好きに書けばいいんじゃないかな。掲載順とかあとでくじになるかもだし」
 と答えると、芒種が、
「でも何か、二十四節気というヤツ? それに合わせて作品書くのも面白いっしょ。できるヤツはそれやったほうがスマートっしょ」
 すると口々に、
「確かに、自分の名前で作品を表すとかカッケェかも」
「できたらやる!」
「夏至も作品更新すりゃいいし!」
「でも冬至はこのままで充分だなぁ、冬はしゃぶしゃぶだし」
「いいや冬至も他に良いのできたら良いので!」
 などなど声があがり、どうなるかと思ったけども、なんとなくネット文芸誌の方向性も決まったみたいで、良かった。