ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

 ただの口実にも聞こえる。
 先生は躊躇なく出て建物の入り口に。

 先生、こういう場所も慣れているんだな……。
 また凹む。
 私は初めてで怖い。

 先生についていくと、パネルのボタンを押している。

 これは……?

 パネルには、部屋の画像や宿泊料金が書かれている。
 生々しい。

 私がじーっと見ていると、後ろからカップルの声が聞こえた。
 先生は急いで私の手を引っ張てエレベーターに乗った。
 エレベーターの中では無言。

 緊張する……!

 階について、先生が向かう先についていく。
 先生がドアを開いたその先は、見たことも無い空間だった。

 ベッドが大きい。
 その周りが鏡で囲まれている。

 ここで寝るの!?

 先生はソファに座った。

「入れよ」

 入れるか!!

「先生、慣れてるんですね」

 先生は目を逸らした。
 泣きたい。
 きっと色んな人と行ったことがあるのかな。
 私が一人付き合っただけでキレてたのに、自分の事は棚に上げる。

「風呂はいる?」
「え!?」

 ふと横をみると、ガラス窓の向こうにジャグジーみたいなバスタブが見えた。
 これどう考えても一人用じゃない。

「私は一人がいいです……」

 私がソワソワしていると、先生は風呂の給湯ボタン押していた。

「待ってください!私こんなとこ来るの初めてないんです!」
「だから面白い」

 先生はにやっと笑った。
 完全に弄ばれている。

 結局、二人で入る流れに。

 無理!恥ずかしい!

 背を向けてチラッと見たら、もう先生は既に入っている。

「早くしろ」

 流石に先生もイライラしている。
 仕方なく諦めて入る事にした。

 なんでこんな事に……。
 動物園に行くだけだったのがとんだ災難だ。

 少し先生から離れて湯船に入った瞬間、先生に抱き寄せられた。

「合格発表の事、忘れられた?」

 あ……。

「あ、頭から抜けてました」

 それどころじゃなかった。でも──

「先生、ありがとうございます」

 私の事を考えていてくれていたことが嬉しかった。

 その時、先生の唇が耳元に近づいた。

「お礼は?」
「え?」

 先生のその時の表情は、案の定……。

 お風呂から上がったら、周囲を鏡で覆われたベッドの上で、ただただ恥ずかしい思いをさせられた。

 これは先生の気晴らしなのかもしれないと、この時思った。

 合格発表は三日後だ。