ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

 ──水島との電話が終わってから、俺は一人で考えていた。

 俺を目指して教員——

 そう思っているんだろうが、正直複雑だった。

 俺は親に言われて、ただなんとなく教師になっただけだ。
 そんな情熱も、明確な目標もなかった。

 ただ……生徒には、俺のようにはなってほしくなかった。
 だから無意識かもしれないが、なるべく俺のできる範囲で、生徒たちの希望が叶うようにはしてきたつもりだ。

 半ば言いなりで教師になったことへの後悔は、ない。
 向いているかどうかは、今でも分からない。

 水島は俺のことを追って教師を目指していると思っているが、それだけでやっていけるのか。
 人生には、仕事は他にも山ほどある。
 教師だけが全てじゃない。

 ただ……矛盾しているが、俺の知らない職業より、同じ方が安心する部分はある。
 あいつに何かあった時、サポートしやすい。
 職場の事情も分かるし、相談にも乗れる。

 それに——

 あいつが他の世界に行ってしまうのが、怖いのかもしれない。
 あいつの将来、自分でそう決めたなら、応援するしかない。

 でも、明日の試験……
 受かってほしいような、受からないでほしいような。
 この複雑な気持ちは、一体何なんなのか。

 窓の外を見つめながら、深いため息をついた。