次の日、私は本屋に行きたくて駅にいた。
先生にもらったネックレスをつけて、またあのワンピースを着て。
ふと駅の柱にあった鏡を見た時、あの時と違って見えて、自分が少し大人になったんだなと、実感した。
その時遠くに見た事がある姿が──
先生の元婚約者の志穂さんだった。
幸せそうに男の人と腕を組んで歩いていた。
あの時とは少し雰囲気が違って、とても穏やかな表情だった。
志穂さんは私に気がついた。
「水島さん…?」
* * *
志穂さんは他の男性と結婚していた。
志穂さんは旦那さんに一言何か言ってこっちに来た。
「今から少し話せる?」
まさか再会するとは思わなかった。
私も志穂さんにずっと、罪悪感を抱えたままだった。
私は志穂さんと近くのカフェに入った。
二人でテーブルのソファに腰掛けた。
リラックスできる穏やかなジャズの音楽が優しく店内に響いている。
志穂さんは注文したコーヒーを少し飲んだ後、私の方を向いた。
「夏雄さんとはどうなったの?」
真剣な眼差しだった。
「先生と志穂さんの結婚がなくなってから、暫く会ってなかったんですけど──私が教育実習で先生の学校に行って再会しました」
「夏雄さんに会いたくて、先生を目指してるの?」
志穂さんは少し驚いていた。
「いえ……。でも半分は本当です。でも先生みたいな教師になりたいという気持ちもちゃんとあります」
今回、実習を終えてから、前とは気持ちが少し変わってきている。
志穂さんはふと私の顔のすぐ下を見た。
「また夏雄さんと一緒になったの?」
志穂さんの目線が私の胸元の"首輪"に向いている。
「はい……。あんな事になって、もう先生とは無理だと思っていました。でもまた先生に振り向いてもらえました」
志穂さんが少し微笑んだ。
「たぶん、夏雄さんがあなたをずっと想ってたんだと思う」
「え?」
志穂さんは遠くを見ていた。
「あの人、結婚式の前日に家に来て断りにきたの。悔しかったから私から断ったようにしてるけど。あそこまできて全部なかった事にするなんて、相当勇気がいる事だと思う」
胸が痛んだ。
「すみませんでした」
謝る事しかできなかった。
「あなたは何も知らなかったんだから謝らないで。それに私、さっきの人と結婚してるの。今とても幸せだから、平気」
志穂さんは少し憂いのある笑みをした。
「興信所使って脅かしてごめんなさいね。まさか元教え子の女の子に恋してるって、結構衝撃的だったし、私のプライドもあったの」
志穂さんは立ち上がった。
「あの人、本音とかあまり言わなそうだから大変だと思うけど、あなたとならうまくいく気がする。応援してる」
志穂さんはあの時とは違って、とても逞しく見えた。
その後、志穂さんの旦那さんがきて、二人で手を繋いでどこかへ行った。
私はまだまだ未熟で、先生が心を開けるような立場でない。
そのためには──
私は大きな決意をした。
先生にもらったネックレスをつけて、またあのワンピースを着て。
ふと駅の柱にあった鏡を見た時、あの時と違って見えて、自分が少し大人になったんだなと、実感した。
その時遠くに見た事がある姿が──
先生の元婚約者の志穂さんだった。
幸せそうに男の人と腕を組んで歩いていた。
あの時とは少し雰囲気が違って、とても穏やかな表情だった。
志穂さんは私に気がついた。
「水島さん…?」
* * *
志穂さんは他の男性と結婚していた。
志穂さんは旦那さんに一言何か言ってこっちに来た。
「今から少し話せる?」
まさか再会するとは思わなかった。
私も志穂さんにずっと、罪悪感を抱えたままだった。
私は志穂さんと近くのカフェに入った。
二人でテーブルのソファに腰掛けた。
リラックスできる穏やかなジャズの音楽が優しく店内に響いている。
志穂さんは注文したコーヒーを少し飲んだ後、私の方を向いた。
「夏雄さんとはどうなったの?」
真剣な眼差しだった。
「先生と志穂さんの結婚がなくなってから、暫く会ってなかったんですけど──私が教育実習で先生の学校に行って再会しました」
「夏雄さんに会いたくて、先生を目指してるの?」
志穂さんは少し驚いていた。
「いえ……。でも半分は本当です。でも先生みたいな教師になりたいという気持ちもちゃんとあります」
今回、実習を終えてから、前とは気持ちが少し変わってきている。
志穂さんはふと私の顔のすぐ下を見た。
「また夏雄さんと一緒になったの?」
志穂さんの目線が私の胸元の"首輪"に向いている。
「はい……。あんな事になって、もう先生とは無理だと思っていました。でもまた先生に振り向いてもらえました」
志穂さんが少し微笑んだ。
「たぶん、夏雄さんがあなたをずっと想ってたんだと思う」
「え?」
志穂さんは遠くを見ていた。
「あの人、結婚式の前日に家に来て断りにきたの。悔しかったから私から断ったようにしてるけど。あそこまできて全部なかった事にするなんて、相当勇気がいる事だと思う」
胸が痛んだ。
「すみませんでした」
謝る事しかできなかった。
「あなたは何も知らなかったんだから謝らないで。それに私、さっきの人と結婚してるの。今とても幸せだから、平気」
志穂さんは少し憂いのある笑みをした。
「興信所使って脅かしてごめんなさいね。まさか元教え子の女の子に恋してるって、結構衝撃的だったし、私のプライドもあったの」
志穂さんは立ち上がった。
「あの人、本音とかあまり言わなそうだから大変だと思うけど、あなたとならうまくいく気がする。応援してる」
志穂さんはあの時とは違って、とても逞しく見えた。
その後、志穂さんの旦那さんがきて、二人で手を繋いでどこかへ行った。
私はまだまだ未熟で、先生が心を開けるような立場でない。
そのためには──
私は大きな決意をした。



