ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

 それから毎日、先生は家まで送ってくれた。

 でも、実習が終わったら私たちはまた離れ離れになるんだ。
 私がしんみりしていると、先生がそっと手を握ってくれる。
 それだけで、胸が満たされてしまう。

 家の近くに着いたとき、先生にキスをされた。

 ——幸せだった。

 このまま時が止まればいいのに、と思った。

 先生は、私の実習が終わったら、どうするつもりなんだろう。
 ……今は、それ以上考えないようにした。

 * * *

 とうとう、最終日。

 担当したクラスの生徒たちにお別れの言葉を伝えた瞬間、涙が出てきた。
 この三週間、私にとってはかけがえのない時間だった。
 クラスの何人かの子も泣いてくれて、それがまた嬉しくて、切なかった。

 放課後、担当していたクラスの男子生徒に告白された。
「ありがとう」とだけ告げた。

 私はあの時、先生に気もちを伝える勇気なんてなかった。
 勇気を出して言ってくれた事が、嬉しかった。
 気持ちには応えられなかったけれど。

 私が職員室に戻ろうとすると、夏雄先生が廊下で立っていた。

 もしかして、見られていた……?

 先生の表情がよくわからない。

「えーと……」

 でもなんだか、怖い。

「三週間、お疲れ」

 先生はぶっきらぼうに言った。

 ああ、とうとう終わってしまうんだ。

「先生と毎日一緒にいられて、幸せでした……」

 もう終わってしまう。
 夢のようなひとときが。

 学校の先生達や職員の人達にお礼の挨拶をして、これでもうここに来る事もなくなるのかと思うと、とても寂しくて切なくて、窓から見える夕陽をずっと眺めていた。

 帰りは他の実習生と一緒に帰ろうと思っていたけれど、先生が「送る」と言った。
 駐車場まで二人で歩いて、先生の車の助手席にゆっくり座る。

「明日休みだから、遠くまで行くか」
「どこに行くんですか?」
「特に決めてない」