ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

 母校で三週間の教育実習が始まった。
 私は先生と科目が違う上、違う学年に振り分けられたため、接点はほとんどない。
 実習生は私を含めて4人。

 私と先生は職員室でもほぼ会話はなく、私は主に実習生用の部屋で授業準備をしたりして過ごしていた。
 実習生用の部屋は、職員室の隣にある小さな部屋。
 古い机と椅子が並んでいて、資料や教材がぎっしり詰まった本棚がある。
 窓からは中庭が見えて、生徒たちが昼休みに楽しそうに話している声が聞こえてくる。

 授業の準備は、思っていたより大変だった。
 同じ実習生の島田君はよく話しかけてくれて、少し心細かったから安心した。
 担当する学年は違ったけど、教科が同じだったから色々相談したりもした。

 でも、それよりも気になることがあった。

 たまに先生の授業を覗きに行く——それが、今の私の日課だった。
 指導教員の許可を得て、「他教科の授業も参考にしたい」という名目で——

 ああ、懐かしい。
 あの頃は、先生とまともに話すこともできなかったし、こんなふうにジロジロ見つめることもできなかった。

 教室の後ろから、先生の授業を見学する。
 高校生の時とは立場が変わったけれど、先生を見つめる気持ちは変わらない。

 先生の声、仕草、表情——
 すべてが、記憶の中のまま。

 だから今は、その機会があるだけで感動して、
 毎日、隙を見ては授業を見に行って、 バレる前に逃げる——そんな日々だった。

 毎日会える。それだけで、胸がいっぱいだった。

 こんな近くにいるのに、話すことはほとんどない。
 挨拶程度の会話だけ。

 でも、それでもいい。
 同じ空間にいるだけで、幸せだった。

 先生の気持ちはわからないけど──