ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─


 私は慌てて服を着替えようとした。
 何を着ればいいのか……。

 その時、またあの白いレースのワンピースが目についた。
 私は迷わずそれを着てしまった。

 急いで自宅を出て、先生のところへ向かった。

「お待たせしてすみません!」
「とりあえず乗って」

 先生は急いでいるみたいだった。
 私は助手席にすぐに乗った。
 そのまま車はどこかに向かっていた。

 そこは──

 学校だった。

「え……ここにきたらまずいんじゃないんですか?」

 今日は式の当日だし。
 そもそも何があったかよくわからない。

 先生は、駐車場に車を停めて、そのまま何も気にせず校舎に向かった。
 そして校舎の外にある非常階段を登って行った。

 早い……!

「先生、待ってください!」

 先生は、まるで私の存在に今気がついたような顔をして、手を差し伸べてくれた。
 そのまま屋上に着いた。

 もう夕方になっていた。
 オレンジ色の世界が視界に広がっていた。
 先生は夕陽を見ながらぼぅっとしていた。

 一体何があったのか。

「先生、何があったんですか……?」
「結婚はなくなった」

 え──?

「向こうから断られた。“十代の女にうつつを抜かす男は無理”ってな」

 ——最悪。

 私のせいだ……。
 本当にどうしよう。

「なんでお前が凹んでんだよ」

「だって……私のせいじゃないですか」
「まあ、そうかもな」

 微妙な空気が流れる。

 でも、次の瞬間——

「でも、俺は後悔してない。これでよかったと思ってる」

 素直に喜んでいいのかわからなかった。

 ただ、先生が側に居てくれる。

「先生、ありがとうございます」

 思わず涙があふれた。
 先生は私の頭をそっと撫でてくれた。
 その手のひらの温かさが、心に染みる。

 誰にも祝福されない関係。
 それでも、先生が側にいてくれるなら、私は頑張れる気がする。

 その後、私達は車に戻った。
 そして、先生はどこに行くかも言わず、ただ車を走らせた。

「先生、どこに行くんですか……?」
「俺の家」
「え!?」

 まさか、こんな展開になるとは思わなかった。