ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

 暑い……。

 土曜日。

 私は、大学からバイト先まで歩いていた。

 あ、明日は先生の結婚式だ。
 先生はあの人の旦那さんになるんだ。

 短い時間だったけど、いろんなことがあった。
 まさか、先生とあんな関係になるなんて。
 去年の私じゃ想像もできなかった。

 いい思い出……なんだろうか。
 ……忘れられるはずがない。
 私は、先生が怖かった。

 でも——

 その怖さも、歪んだところも含めて、私は先生を好きになってしまった。
 もう先生は、私の一部なんだ。
 あなたが私を忘れても、私は一生忘れられないと思う。

 その時——

 遠くに、夏雄先生の姿が見えた。

 ……蜃気楼?
 暑さで幻覚を見てる……?

 こんなところにいるわけない。
 もう二度と会えないはずなのに。

 段々と視界が狭くなる。
 暑さと、戸惑いと、色んな感情が一気に押し寄せてきて、意識が遠のいていく。

 そのまま——記憶は、途切れた。

 倒れる直前に聞こえたのは——

「水島!」

 先生の声だった。