ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

 どうしていつも忘れようとしてるのに、先生に会ってしまうの?

 時が止まった気がした。

 我に帰って周りを見渡した時、先生の隣には、この前スマホを拾ってくれたあの女性がいた。
 もしかして、この人が先生の婚約者……?

「あ、あなた、この前の……」

「えーと、その節はありがとうございました…」

 ——気まずい!

 思わず目線を逸らしてしまった。

 その時、夏雄先生が私を見て、凍りついたような顔をした。

「え、二人……知り合いだったの?」

 先生が動揺している。
 こんな姿、初めて見た。

 愛美は……建物の影に隠れてる。
 私を置いてくなー!

「この前、スマホを拾ってもらって……」

 先生は呆れたように言った。

「お前、今度はスマホかよ……」
「はい……すみません」

 そのやりとりを、彼女はじっと見ていた。

「仲がいいんですね」

 その人はふふっと笑った。

 あ、バレたらまずい……!

「高校の時の先生なんです!とても仲良くさせてもらってました!尊敬する先生です!」

 ——裏では、全力であの関係を否定してた。

「夏雄さんの教え子さんなんですね」

 彼女が先生の方を見る。
 先生は目を逸らしながら、「はい……」とだけ答えた。

 演技してよ、先生!
 心の中で思わずツッコんでしまう。

「あなたは誰かと来てるの?彼氏さんとか?」

 その瞬間、先生の眉間に皺が寄った。
 なにこの拷問。
 一刻も早く立ち去りたい。

「違います……女友達です」

 ——もう無理!

「すみません!友達待たせてるんでー!」

 私は全力でその場を離れた。

「あの子、魅力的な生徒さんね」

 彼女がつぶやいた。

 そこに、静寂が流れた。