ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

 ──水島を泣かせた。
 
 泣かせるつもりなんてなかった。

 車の中で、一人になって、我に帰った。
 ただ、あいつが他の男と楽しそうにしてるのを見たら、俺の中の何かが暴れ出した。
 理性なんて、どこかに飛んでいってしまった。

 止められなかった。

 あいつは──

 俺のことを好きなくせに、逃げて。
 怖がるくせに、身体は正直で。
 その矛盾が、俺をさらに駆り立てた。

 でもあいつは、傷ついてたんだな。

 俺は、自分の欲望のままに動いて、水島を追い詰めている。
 それが、どれだけ酷いことか、頭では理解しているつもりだった。
 でも、理解していても、止められない。

 あと二ヶ月で、俺は結婚する。
 そうなったら、水島との関係は終わる。

 今は「元生徒」で済むけど、結婚したら——

 だから、それまでに、何か確かなものが欲しかった。
 水島の心を、完全に手に入れたかった。

 ただその欲しがり方を、間違えた。
 俺は、歪んでる。
 まっすぐに愛せない。

 こんな歪んだ俺を、それでも愛してほしいなんて、都合のいいことを考えてる。
 そもそも、俺はあいつのことを、本当に愛してるのか?
 それすらよくわからない。

 ただ——

 誰にも渡したくない。
 俺だけを見ていてほしい。
 俺だけを求めてほしい。
 俺のそばにいてほしい。

 ただ、それだけの漠然とした感情だけが、心の奥に残っていた。

 夜の駐車場で、一人きりで、ぼんやりと考えていた。