ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

「俺も苦しいよ、お前に会えなくなるのが」

 先生が突然そう言った。

 苦しい……?
 先生が、苦しい……?
 どうして?

 先生は、私の髪をかきあげた。
 そして、唇が私の耳に触れた。
 その瞬間、体に痺れを感じて、頭の中がボヤけて、思考がうまく働かなくなった。

「先生ちょっと待ってください!」

 けれど、先生はやめない。
 更に追い討ちをかけるように、指を滑らせる。

「ドア、鍵空いてるよ。逃げたかったら逃げていいよ」

 そんなこと言われても——

 もう、体に力が入らない。
 むしろ、先生の体温を心地いいと感じてしまっている。

「お前の体は、俺を欲しがってるんだよ」

 ……そうかもしれない。
 自分でも、もうよくわからない。

 こんなことされても、やっぱり先生のことが頭から離れない。
 おかしくなってる。

 先生はまた、私の敏感なところに触れてくる。
 その度に私の心と身体は先生に呑まれていく。

 どうすればいいの?

「先生はどうすれば満足するんですか……?」

 その言葉に、先生の手が止まった。

「お前が……身も心も、何もかも、俺が欲しいって、俺に縋り付けばいいんだよ」

 こんなに自分勝手なことをしておいて。
 矛盾だらけ。
 やっぱり、この人はどこか壊れてる。

 私は起き上がり、車のドアを開けて外に飛び出した。

「先生……もう、やめませんか……?」

 涙がまた溢れてくる。

「先生が私をどう思ってるのか、よくわからないし……私も、だんだん自分の気持ちがわからなくなってます」

「私は、先生の都合のいい人形じゃないんですよ……」

 そう言って、私はその場を立ち去った。