ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

心臓が止まりそうになった。
 なぜ、こんなところに?
 こんなタイミングで?

 先生の目は、いつも以上に鋭く、加藤さんを睨みつけていた。
 その瞬間、加藤さんの手から力が抜けた。

「申し訳ありませんが……水島は俺と用事があるので、これで失礼します」

 先生は私の腕を引っ張って、どこかへ歩き出した。

「先生、どこに行くんですか!?」

 先生は何も言わなかった。

 駐車場に着いた途端、先生は赤いスポーツカーの後部座席を開けて、私を押し込んだ。

「何するんですか!」

 あまりに強引な態度に、私は苛立った。

 その時——

 先生の目線が、氷のように冷たくて、 もしくは業火のように燃えていた。

「……あの男は誰?」

「先生に関係ないです……」

 私は目を逸らした。
 先生は私の顎を掴んで、無理やりキスをしてきた。
 欲望が、絡み合う。
 く、苦しい……。

「先生、なんでまたこんなことするんですか?」
「お前が、俺から逃げるからだよ」

 自分から人を追い詰めておいて、何を言ってるんだろう。この人は。
 矛盾してる。

「先生といると苦しいんです。辛いんです。 だから、もう私と関わらないでください!」
「……俺も苦しいよ。お前に、会えなくなるのが」

 その時の先生の瞳は、 とても寂しげだった。

 ……それなら、なんでこんなことをするんだろう。
 また、深い闇の底に突き落とされた気がした。