「今日、数学寝てた?」
「起きてた」
「嘘」
「……半分」
彼女は小さく笑う
その音が、風よりも耳に残った
「黒瀬くんってさ」
「何だ」
「思ってたより、ちゃんと話す人だよね」
否定しようとして、やめた
話しているのは事実だ
「必要なことしか言わないだけだ」
「それ、結構好き」
一瞬、思考が止まる
返す言葉が見つからない
「……変わってるな」
「よく言われる」
彼女は笑って、また空を見る
その沈黙は、もう嫌じゃなかった
むしろ——
「明日も、来る?」
気づけば、俺の方から聞いていた
彼女は少し驚いてから、うなずく
「来るよ。たぶん」
たぶん、でいい
確定じゃないところが、ちょうどいい
胸の奥が、また軋んだ
これは感情だ
切り捨てるべきものだと、分かっている
それでも俺は、翌日の昼休みを
少しだけ楽しみにしている自分を否定できなかった
「起きてた」
「嘘」
「……半分」
彼女は小さく笑う
その音が、風よりも耳に残った
「黒瀬くんってさ」
「何だ」
「思ってたより、ちゃんと話す人だよね」
否定しようとして、やめた
話しているのは事実だ
「必要なことしか言わないだけだ」
「それ、結構好き」
一瞬、思考が止まる
返す言葉が見つからない
「……変わってるな」
「よく言われる」
彼女は笑って、また空を見る
その沈黙は、もう嫌じゃなかった
むしろ——
「明日も、来る?」
気づけば、俺の方から聞いていた
彼女は少し驚いてから、うなずく
「来るよ。たぶん」
たぶん、でいい
確定じゃないところが、ちょうどいい
胸の奥が、また軋んだ
これは感情だ
切り捨てるべきものだと、分かっている
それでも俺は、翌日の昼休みを
少しだけ楽しみにしている自分を否定できなかった



