とある男子高校生の日常

「理由は」


「聞かないで」


きっぱりと、でも震えた声


それ以上、踏み込めなかった


踏み込めば、壊れる気がした


その日から、距離ははっきりした


誰かと話している彼女を見る


笑っている


——俺といた時より、ずっと自然に


胸が、重くなる


合理的に考えろ


感情に振り回されるな


何度も、自分に言い聞かせる


それでも、帰り道に思い出すのは、


傘の中の距離


袖を掴む指の感触


「……馬鹿だな」


誰に向けた言葉かも分からない


俺はまだ、彼女を失った理由を知らない


けれど一つだけ、はっきりしている


この距離を「仕方ない」と受け入れた瞬間、


本当に終わってしまう


——だからは俺は、


もう一度だけ、踏み込む覚悟を決めた