とある男子高校生の日常

ただ、選んだ理由を説明していないだけだ


「雨の日ってさ」


彼女は少し考えてから、言葉を選ぶように続けた


「みんな、無理に明るくしようとするよね」


「……そうか」


「私は、しない」


その一言が、妙に胸に引っかかる


「無理に笑うと、疲れるから」


指先が、膝の上で握られる


その仕草を、俺は見逃さなかった


——踏み込むべきじゃない


そう分かっているのに


「……誰かに、そう言われたのか」


一瞬、彼女の目が揺れた


「鋭いね」


否定しない


それが答えだった


雨音が強くなる


逃げ場のない沈黙


「黒瀬くんは?」


「俺は——」


言葉が詰まる


自分のことを話すつもりはなかった


「感情は、隠すものだ」


本音でもあり、言い訳でもある


「そっか」


彼女はそれ以上、踏み込んでこなかった


その距離感が、ありがたい