1. 運命のステージ、帝王の帰還
一ノ瀬財閥の総帥就任パーティー。
都内最高級ホテルのグランドボールルームには、政財界のVIP、海外の投資家、そして何百台ものカメラを構えたメディア関係者がひしめき合い、心臓を圧迫するような熱気に包まれていた。一ノ瀬駿という若き天才が、ついに日本経済の頂点に正式に君臨する、歴史的な夜。
私は、眩い照明の裏側、舞台袖で震える手を押さえていた。
纏っているのは、駿さんがこの夜のためだけに、フランスのオートクチュール・メゾンに特注させた、純白のシルクに銀糸の繊細な刺繍が施されたマーメイドドレス。それは見る者によっては「花嫁衣装」のようであり、同時にこれから世界を相手に戦う「女王の鎧」のようでもあった。
(……どうしよう、心臓が口から出そう。……ただの「限界オタク」だった私が、一ノ瀬グループの総帥夫人として、世界中に生配信されるなんて。……駿さん、さすがにこれ、受理のハードルが高すぎませんか……!)
「……凛。何をそんなに震えている。呼吸の周波数が乱れているぞ」
背後から、聞き慣れた、けれど今夜は一段と深く、重厚に響く声が届いた。
振り返ると、漆黒のタキシードを完璧に着こなした駿さんが立っていた。その胸元には、私の瞳の色と同じ、深いロイヤルブルーのシルクチーフが誇らしげに差し込まれている。
「……駿さん。だって、今夜のことは……あまりに無茶苦茶です。一族の長老たちも、大株主も、みんな睨むように見ているんですよ? そんな場所で、あんな公私混同な……」
「無茶苦茶なのは、今に始まったことじゃないだろう」
駿さんは私の腰を、逃がさないという意志を込めて強く引き寄せ、その額に優しく自分の額を押し当てた。至近距離で見つめ合う銀色の瞳には、冷徹な理性を焼き切るほどの、私への執着だけが渦巻いている。
「お前は三年前、俺の声に魂を預けた。……今度は、俺がお前の存在すべてを、世界という名のステージで受理(アクセプト)してやる番だ。……いいな、凛。お前はただ、俺の隣で、世界で一番幸せな女の顔をしていればいい。……それ以外の雑音は、俺がすべて黙らせる」
開演を告げる地鳴りのような重低音のベルが鳴り響く。
駿さんは私の冷えた指先を、熱い掌で力強く包み込み、光り輝くステージへと足を踏み出した。
2. 暴露と福音、ナイトの再臨
ステージ中央、数千のフラッシュが爆発するように焚かれる中、駿さんはマイクの前に立った。
会場が水を打ったように静まり返る。誰もが、新総帥としての形式的な、退屈な挨拶を予想していた。だが、駿さんの口から飛び出したのは、会場の、そして同時接続数で歴史を塗り替えている生配信を見守る何百万人のリスナーの予想を、銀河の彼方まで置き去りにする言葉だった。
「……本日は、一ノ瀬グループの未来について語る前に、一つ、重要な事実を公表させていただきたい」
駿さんの冷徹な瞳が、カメラのレンズの向こう側、全世界を射抜く。
「……巷で長年噂されている、正体不明の匿名配信者『ナイト』の真実についてだ」
会場が激しくざわめき、ネットのコメント欄が物理的な衝撃波を伴うかのように爆発した。
「『……こんばんは。ナイトです。……今夜は、俺の人生で最も大切な「特別な一人」へ向けて、最後の、そして真実の告白をしようと思う』」
駿さんの声が、地声から瞬時に、世界を溶かす「ナイト」の周波数へと切り替わった。
スピーカーを通じて、世界中のリスナーの鼓膜を震わせてきたあの甘美で、どこか悲しげで、暴力的なまでに美しい低音が、豪華なボールルームを、そして全世界のデジタルデバイスを完全に掌握する。
「……俺が一ノ瀬の看板を一時的に捨て、素性を隠してまで声を届け続けたのは、ただ一つの目的のためだった。……それは、この世で最も美しい声を持つ女性――氷室凛を、俺の檻(なか)へ誘い込み、彼女を孤独から救い出すためだ」
駿さんは、隣で呆然と、涙を浮かべて立ち尽くす私の肩を、これ以上ないほど愛おしそうに抱き寄せた。
「彼女は俺の有能な部下であり、俺の最高のプロデューサーであり、そして――俺の魂のすべてを捧げた、唯一無二の妻だ。……俺がナイトとして稼ぎ出した数十億の収益、そして一ノ瀬の総帥としての全権力……そのすべては、彼女を幸せにするためだけの『軍資金』に過ぎない。……俺は彼女を愛するために、この帝国を創り変えた」
(……駿、さん……。何、言ってるの……。そんなこと言ったら、もう……後戻りできないじゃない……! でも……嬉しい……っ、死ぬほど、嬉しいよ……!)
私の視界が、止めどなく溢れる涙で滲む。
会場中のセレブたちが、そして画面の向こうのファンたちが、絶叫し、感動し、あるいはあまりの糖度の高さに悶絶している。
ハイスペックの帝王が、たった一人の女性を「受理」するためだけに、自らの帝国を捧げたと宣言したのだ。
3. 公開プロポーズ、永遠の受理(アクセプト)
駿さんは、何千ものカメラの前で、ゆっくりと私の方を向いて、片膝を突いた。
世界を動かす最高権力者が、一人の女性の前に跪く。その騎士(ナイト)のような、気高くも献身的な姿に、会場の誰もが息を呑み、言葉を失った。
彼はタキシードのポケットから、一粒の巨大なピンクダイヤモンドが、照明を反射して狂おしく輝くリングを取り出した。それは、一ノ瀬家の伝統ある家宝ではない。彼が「ナイト」としての活動で稼ぎ、自らの「声」で手に入れた、純粋な愛の結晶だった。
「『……凛。……お前は、三年前から俺の檻の住人だった。……だが、今夜からは、この世界中がお前の檻だ。……俺は一ノ瀬の総裁として、そしてお前だけのナイトとして、一生かけてお前に「愛」という名のスパチャを送り続ける』」
駿さんの声が、極限の慈しみと、隠しきれない独占欲を含んで熱く震える。
「『……お前の苦しみも、過去の孤独も、すべて俺が買い取ってやる。……お前はただ、俺の腕の中で、世界で一番贅沢な声を鳴らしていればいい。……凛、俺と、永遠の終身契約を結んでくれるか? 俺を、お前の人生の最推しにしてくれ』」
「…………っ、……はい……っ! 受理……受理します、私の旦那様……っ!」
私は泣き笑いの、ひどく崩れた、けれど今人生で一番輝いているはずの表情で、彼の手に自分の手を重ねた。
駿さんは力強く、けれど誓いの重みを込めて、私の指にリングを滑り込ませた。
次の瞬間、会場の照明が白銀の閃光を放ち、天井から何万枚もの銀の紙吹雪が、祝福の音色のように降り注いだ。
拍手は地鳴りのように響き、ネットの配信画面は「おめでとう!」「最高にエモい!」「萌え死んだ!」「受理した!」という弾幕で埋め尽くされ、真っ白に染まった。
(……ああ。私は、なんて幸せなオタクなんだろう。……私の「最推し」は、私の「最愛の夫」になり、今、世界中の前で私を「世界一のヒロイン」に受理してくれたんだ……!)
4. 檻(スイート)の中の終焉、そして始まり
嵐のようなパーティーがようやく幕を閉じ、私たちはホテルの最上階、一ノ瀬家が所有するインペリアル・スイートへと戻った。
重厚な扉が「カチリ」と閉まり、外界の喧騒が完璧にシャットアウトされる。そこにあるのは、最高級のホワイトムスクのアロマと、駿さんの濃密な独占欲だけが支配する、二人だけの聖域(檻)だった。
「……駿さん。本当にお疲れ様でした。……でも、明日からの市場の混乱と親戚の対応、本当に大変なことになりますよ?」
私がドレスの肩紐を震える指で解きながら言うと、駿さんは背後から私を、折れそうなほど強く抱きしめた。
「構わない。……俺には、世界最強の有能なプロデューサーがついているんだろう? ……それよりも、凛。……お前、さっきのステージで、最高にいい声をしていたな。……俺の耳には、お前の心拍数の高鳴りが、最高の音楽のように響いていたぞ」
「……え、あ……っ……恥ずかしい……」
駿さんは私の耳元に唇を寄せ、ナイトの周波数を最大にして、夜の帳を切り裂くように、抗えないほど甘く囁いた。
「『……全人類にお前を見せびらかして、一ノ瀬駿のものだと「受理(フォーマット)」した。……これで、もう誰もお前に汚い視線を向けることはできないし、お前も俺から逃げられない。……さあ、今夜は……そのティアラも、ドレスも、すべて俺の手で剥ぎ取ってやる。……お前が俺の声だけで、どんな風に愛らしく乱れるか……一晩中、俺の鼓膜にサンプリングさせてもらおうか』」
駿さんの熱い指先が、ドレスの隙間から私の肌を、獲物を愛でるように這い回る。
「……駿、さん。……もう、逃げ場なんて、この世界のどこにもないんですね」
「『……ああ。……お前は一生、俺の声の檻の中で、溺愛され、搾り取られ続けるんだ。……これが、俺たちの真のハッピーエンドだ。……凛、愛してる。……死ぬまで、俺を受理し続けろ』」
「…………はい。……全部……全部、受理(アクセプト)します……っ!」
窓の外、眠らない東京の夜景。
その最上階、世界の頂点で、二人の魂は一つの完璧な周波数となり、永遠に溶け合っていった。
ハイスペ部長の溺愛は、今や永遠の神話となり、一人のオタク女子の人生を、世界で一番甘い「声」で塗りつぶしていく。
完璧なヒロイン・氷室凛。
彼女は、世界で一番執着深く、世界で一番声のいい「ナイト」の腕の中で、今夜も幸せに爆死し続けるのだった。
【エンゲ―ジ・ロイヤル編 完結】
一ノ瀬財閥の総帥就任パーティー。
都内最高級ホテルのグランドボールルームには、政財界のVIP、海外の投資家、そして何百台ものカメラを構えたメディア関係者がひしめき合い、心臓を圧迫するような熱気に包まれていた。一ノ瀬駿という若き天才が、ついに日本経済の頂点に正式に君臨する、歴史的な夜。
私は、眩い照明の裏側、舞台袖で震える手を押さえていた。
纏っているのは、駿さんがこの夜のためだけに、フランスのオートクチュール・メゾンに特注させた、純白のシルクに銀糸の繊細な刺繍が施されたマーメイドドレス。それは見る者によっては「花嫁衣装」のようであり、同時にこれから世界を相手に戦う「女王の鎧」のようでもあった。
(……どうしよう、心臓が口から出そう。……ただの「限界オタク」だった私が、一ノ瀬グループの総帥夫人として、世界中に生配信されるなんて。……駿さん、さすがにこれ、受理のハードルが高すぎませんか……!)
「……凛。何をそんなに震えている。呼吸の周波数が乱れているぞ」
背後から、聞き慣れた、けれど今夜は一段と深く、重厚に響く声が届いた。
振り返ると、漆黒のタキシードを完璧に着こなした駿さんが立っていた。その胸元には、私の瞳の色と同じ、深いロイヤルブルーのシルクチーフが誇らしげに差し込まれている。
「……駿さん。だって、今夜のことは……あまりに無茶苦茶です。一族の長老たちも、大株主も、みんな睨むように見ているんですよ? そんな場所で、あんな公私混同な……」
「無茶苦茶なのは、今に始まったことじゃないだろう」
駿さんは私の腰を、逃がさないという意志を込めて強く引き寄せ、その額に優しく自分の額を押し当てた。至近距離で見つめ合う銀色の瞳には、冷徹な理性を焼き切るほどの、私への執着だけが渦巻いている。
「お前は三年前、俺の声に魂を預けた。……今度は、俺がお前の存在すべてを、世界という名のステージで受理(アクセプト)してやる番だ。……いいな、凛。お前はただ、俺の隣で、世界で一番幸せな女の顔をしていればいい。……それ以外の雑音は、俺がすべて黙らせる」
開演を告げる地鳴りのような重低音のベルが鳴り響く。
駿さんは私の冷えた指先を、熱い掌で力強く包み込み、光り輝くステージへと足を踏み出した。
2. 暴露と福音、ナイトの再臨
ステージ中央、数千のフラッシュが爆発するように焚かれる中、駿さんはマイクの前に立った。
会場が水を打ったように静まり返る。誰もが、新総帥としての形式的な、退屈な挨拶を予想していた。だが、駿さんの口から飛び出したのは、会場の、そして同時接続数で歴史を塗り替えている生配信を見守る何百万人のリスナーの予想を、銀河の彼方まで置き去りにする言葉だった。
「……本日は、一ノ瀬グループの未来について語る前に、一つ、重要な事実を公表させていただきたい」
駿さんの冷徹な瞳が、カメラのレンズの向こう側、全世界を射抜く。
「……巷で長年噂されている、正体不明の匿名配信者『ナイト』の真実についてだ」
会場が激しくざわめき、ネットのコメント欄が物理的な衝撃波を伴うかのように爆発した。
「『……こんばんは。ナイトです。……今夜は、俺の人生で最も大切な「特別な一人」へ向けて、最後の、そして真実の告白をしようと思う』」
駿さんの声が、地声から瞬時に、世界を溶かす「ナイト」の周波数へと切り替わった。
スピーカーを通じて、世界中のリスナーの鼓膜を震わせてきたあの甘美で、どこか悲しげで、暴力的なまでに美しい低音が、豪華なボールルームを、そして全世界のデジタルデバイスを完全に掌握する。
「……俺が一ノ瀬の看板を一時的に捨て、素性を隠してまで声を届け続けたのは、ただ一つの目的のためだった。……それは、この世で最も美しい声を持つ女性――氷室凛を、俺の檻(なか)へ誘い込み、彼女を孤独から救い出すためだ」
駿さんは、隣で呆然と、涙を浮かべて立ち尽くす私の肩を、これ以上ないほど愛おしそうに抱き寄せた。
「彼女は俺の有能な部下であり、俺の最高のプロデューサーであり、そして――俺の魂のすべてを捧げた、唯一無二の妻だ。……俺がナイトとして稼ぎ出した数十億の収益、そして一ノ瀬の総帥としての全権力……そのすべては、彼女を幸せにするためだけの『軍資金』に過ぎない。……俺は彼女を愛するために、この帝国を創り変えた」
(……駿、さん……。何、言ってるの……。そんなこと言ったら、もう……後戻りできないじゃない……! でも……嬉しい……っ、死ぬほど、嬉しいよ……!)
私の視界が、止めどなく溢れる涙で滲む。
会場中のセレブたちが、そして画面の向こうのファンたちが、絶叫し、感動し、あるいはあまりの糖度の高さに悶絶している。
ハイスペックの帝王が、たった一人の女性を「受理」するためだけに、自らの帝国を捧げたと宣言したのだ。
3. 公開プロポーズ、永遠の受理(アクセプト)
駿さんは、何千ものカメラの前で、ゆっくりと私の方を向いて、片膝を突いた。
世界を動かす最高権力者が、一人の女性の前に跪く。その騎士(ナイト)のような、気高くも献身的な姿に、会場の誰もが息を呑み、言葉を失った。
彼はタキシードのポケットから、一粒の巨大なピンクダイヤモンドが、照明を反射して狂おしく輝くリングを取り出した。それは、一ノ瀬家の伝統ある家宝ではない。彼が「ナイト」としての活動で稼ぎ、自らの「声」で手に入れた、純粋な愛の結晶だった。
「『……凛。……お前は、三年前から俺の檻の住人だった。……だが、今夜からは、この世界中がお前の檻だ。……俺は一ノ瀬の総裁として、そしてお前だけのナイトとして、一生かけてお前に「愛」という名のスパチャを送り続ける』」
駿さんの声が、極限の慈しみと、隠しきれない独占欲を含んで熱く震える。
「『……お前の苦しみも、過去の孤独も、すべて俺が買い取ってやる。……お前はただ、俺の腕の中で、世界で一番贅沢な声を鳴らしていればいい。……凛、俺と、永遠の終身契約を結んでくれるか? 俺を、お前の人生の最推しにしてくれ』」
「…………っ、……はい……っ! 受理……受理します、私の旦那様……っ!」
私は泣き笑いの、ひどく崩れた、けれど今人生で一番輝いているはずの表情で、彼の手に自分の手を重ねた。
駿さんは力強く、けれど誓いの重みを込めて、私の指にリングを滑り込ませた。
次の瞬間、会場の照明が白銀の閃光を放ち、天井から何万枚もの銀の紙吹雪が、祝福の音色のように降り注いだ。
拍手は地鳴りのように響き、ネットの配信画面は「おめでとう!」「最高にエモい!」「萌え死んだ!」「受理した!」という弾幕で埋め尽くされ、真っ白に染まった。
(……ああ。私は、なんて幸せなオタクなんだろう。……私の「最推し」は、私の「最愛の夫」になり、今、世界中の前で私を「世界一のヒロイン」に受理してくれたんだ……!)
4. 檻(スイート)の中の終焉、そして始まり
嵐のようなパーティーがようやく幕を閉じ、私たちはホテルの最上階、一ノ瀬家が所有するインペリアル・スイートへと戻った。
重厚な扉が「カチリ」と閉まり、外界の喧騒が完璧にシャットアウトされる。そこにあるのは、最高級のホワイトムスクのアロマと、駿さんの濃密な独占欲だけが支配する、二人だけの聖域(檻)だった。
「……駿さん。本当にお疲れ様でした。……でも、明日からの市場の混乱と親戚の対応、本当に大変なことになりますよ?」
私がドレスの肩紐を震える指で解きながら言うと、駿さんは背後から私を、折れそうなほど強く抱きしめた。
「構わない。……俺には、世界最強の有能なプロデューサーがついているんだろう? ……それよりも、凛。……お前、さっきのステージで、最高にいい声をしていたな。……俺の耳には、お前の心拍数の高鳴りが、最高の音楽のように響いていたぞ」
「……え、あ……っ……恥ずかしい……」
駿さんは私の耳元に唇を寄せ、ナイトの周波数を最大にして、夜の帳を切り裂くように、抗えないほど甘く囁いた。
「『……全人類にお前を見せびらかして、一ノ瀬駿のものだと「受理(フォーマット)」した。……これで、もう誰もお前に汚い視線を向けることはできないし、お前も俺から逃げられない。……さあ、今夜は……そのティアラも、ドレスも、すべて俺の手で剥ぎ取ってやる。……お前が俺の声だけで、どんな風に愛らしく乱れるか……一晩中、俺の鼓膜にサンプリングさせてもらおうか』」
駿さんの熱い指先が、ドレスの隙間から私の肌を、獲物を愛でるように這い回る。
「……駿、さん。……もう、逃げ場なんて、この世界のどこにもないんですね」
「『……ああ。……お前は一生、俺の声の檻の中で、溺愛され、搾り取られ続けるんだ。……これが、俺たちの真のハッピーエンドだ。……凛、愛してる。……死ぬまで、俺を受理し続けろ』」
「…………はい。……全部……全部、受理(アクセプト)します……っ!」
窓の外、眠らない東京の夜景。
その最上階、世界の頂点で、二人の魂は一つの完璧な周波数となり、永遠に溶け合っていった。
ハイスペ部長の溺愛は、今や永遠の神話となり、一人のオタク女子の人生を、世界で一番甘い「声」で塗りつぶしていく。
完璧なヒロイン・氷室凛。
彼女は、世界で一番執着深く、世界で一番声のいい「ナイト」の腕の中で、今夜も幸せに爆死し続けるのだった。
【エンゲ―ジ・ロイヤル編 完結】



