この星空の下で、君に恋をした

 それからの夜、屋上へ向かう足が途中で止まりかけた。
 扉の前で、私は小さく息を吸う。

 ——来ない。
 もう、分かっている。

 それでも、ここまで来てしまった。

 扉を押し開けると、冷たい風が頬に触れた。

 夜空は澄んでいて、星がはっきり見える。

 相沢くんの姿はやっぱりなかった。

「……だよね」

 そう言いながら、私はフェンスのそばまで歩いた。
 いつもの場所。
 いつも、隣に相沢くんがいた場所。

 今日は立ち止まらなかった。
 待たないと、最初から決めていた。

 赤い星を見上げる。

 アンタレスは、少し低くなった気がする。

 ——もうすぐ見えなくなる。