この星空の下で、君に恋をした

 低い位置に、赤い星がある。

 ——アンタレス。

 名前を知ってしまったせいか、前よりもはっきり目に入る。
 知らなかった頃より、ずっと。

 五分。

 十分。

 風が冷たくなってきて、制服の袖をぎゅっと握る。

「……遅いな」

 誰にともなくつぶやく。

 昼間、校舎で感じた違和感が、遅れて胸に戻ってきた。
 
 いそうな場所にいないこと。
 見かけるはずの姿が、消えていたこと。