この星空の下で、君に恋をした

 昼休み、今日は相沢くんをまだ一度も見かけていない。
 
 渡り廊下の向こう、階段、購買の前。

 いそうな場所に、いない。
 
 すれ違うはずの時間に、姿がない。

 屋上に続く階段を上りながら、私は無意識に足音を探していた。

 先にいるはずの気配。
 
 フェンスにもたれて、空を見上げている影。

 でも、扉を押し開けた瞬間、聞こえたのは風の音だけだった。

「……まだ、来てないだけだよね」

 自分に向けた言葉は、やけに頼りなかった。
 
 空は晴れていて、星もよく見える。
 出会ったあの日と、ほとんど同じ夜空だった。

 私はフェンスのそばまで歩いて、立ち止まる。
 相沢くんがいつも立っていた場所を、無意識に避けるようにして。

 少し待てば来る。
 そう思って、空を見上げていた。