この星空の下で、君に恋をした

 翌朝、目を覚ました瞬間、私の頭に最初に浮かんだのは星のことだった。

 屋上のフェンス越しに見た、低い位置で赤く光っていた星。
 相沢くんが静かに指をさして、短く名前を告げた声。

 ——アンタレス。

 “心臓”という意味だった。

 ただ、あの星を見ていた時間が、思った以上に私の中に残っていた。

 布団から起き上がり、カーテンを開ける。

 朝の空は、昨夜とはまるで違って何事もなかったように明るい。

「……今日も一緒に星、見れるよね」

 小さくつぶやいてから、私は首を振った。
 変な期待をするのはやめよう、と自分に言い聞かせる。


 学校へ向かう道でも、授業中でも、ふとした拍子に昨夜の光景がよみがえった。