この星空の下で、君に恋をした

 私は、しばらくその場に立ったまま、
 何もせずに時間を過ごした。

 待っていた、という事実だけが、
 静かに積もっていく。

 やがて、
 もう待つ理由がなくなったことに気づく。

「……帰ろう」

 誰に言うでもなく、そう呟いた。

 屋上を出るとき、
 振り返らなかった。

 振り返ったら、
 「いない」ことを、
 もう一度確認してしまいそうだったから。

 階段を下りながら思う。

 夜にしか会えない関係は、
 夜に彼が来なければ、何も残らない。

 それが、
 こんなにも心細いものだなんて、
 私は知らなかった。

 待っていた夜に、
 彼はいなかった。

 その事実だけが、
 胸の奥で静かに残っていた。