この星空の下で、君に恋をした

 その日は、屋上へ行く前から落ち着かなかった。

 理由ははっきりしている。
 昼間、学校の廊下で相沢湊を見かけたからだ。

 夜の屋上では、静かで、夜に溶け込むみたいな人。
 でも昼の相沢くんは、少し違った。

 制服の袖をきっちり下ろして、背筋を伸ばして歩いている。
 クラスの男子とすれ違っても、必要以上に話さない。
 笑っているところも、ほとんど見なかった。

 ——同じ人、なのに。

 夜しか知らなかった分、その違いが妙に頭に残った。

 放課後。
 私はいつもより少し早く屋上へ向かった。

 空はまだ薄く明るくて、星は一つも見えない。

 それでも、ここに来てしまう。

 扉を開けると、予想どおり人影はなかった。
 
 フェンス越しに、オレンジ色の空が広がっている。

「……まだ、だよね」

 小さく呟いて、欄干にもたれた。