──"一生"とか、"ずっと"とか。
だめだよ、わたしは凪を義務や情で縛り付けられない。いつまでもこうしていられないことはわかってる。だけど、どうしたって離れたくない。
いつも凪はこういうことを言っても、冗談だって笑うのに、今日は笑ってくれなかった。すこしさみしそうに俯くから、ペースが乱れる。そんな顔をされたら、わたしだって本音が溢れてしまう。
「……うん、なぎだけ。……すきだよ」
「……俺もすき。花鈴のすきが俺にだけ向けばいいってずっと思ってるよ」
「……ん、」
空虚なふりした本音の"すき"に返ってくるのは、わたしに合わせた空っぽの"すき"。
だけどまだこうして、凪のとなりにいたい。ぎゅってしたい、キスしたい、触れたい。
──いつか、ふりむいてほしい。
このまま曖昧な関係で、幼なじみという特権を振りかざして、流されて、絆されてしまえばいい。
「あのふたり……へえ?」
夜景を構成する9階の淡いひかりは、わたしたちだけのひみつ、のはずだった。
日常はすこしずつ、変わり始める。
▫︎◻︎



