人もまばらなオフィスで、両手をぎゅっとして自分自身に頑張れのエールを送る。
《お疲れ様です、三戸さん》
《大丈夫です。わたし、今日完成させて関係部にメールしておきます》
《お任せください!》
この仕事は最後までわたしが持ちたかった。密かに憧れていた三戸さんがわたしに任せてくれた案件だったから。
わたしの送ったチャットに既読を示す瞳マークが追加された。直後、社用スマホが控えめに音を鳴らす。
「はい、人事部児玉です」
『お疲れさま。お嬢、本当に大丈夫だから。この時間から完成させようとしたら残業確定よ。可愛い後輩にそんなことさせられないわ』
開口一番、わたしの決意をひっくり返そうとする声。冷静だけど宥めるような落ち着いた声色に負けないようにしなければ。かりんちゃん、けっこう頑固です!



