17時定時、の30分前。秋の空、日に日に紺を迎える時間は早まっている。オフィス内に差し込むのはすでに夕日だ。
今日も朱色のひかりが沈みゆくなか、在宅中の三戸さんから不穏なチャットが届いた。おそるおそる次のメッセージを待つ。表示される“入力中”とぐるぐるがやけに長く感じた。
《予算案、来週金曜って伝えてたと思うんだけど、今週だった……!》
《ごめんね、せっかく頼んだ案件だけど、今回は私のほうでやるから》
《また今度、お願いするね。機会奪ってしまって本当に申し訳ない》
三戸さんに任せてもらっていた、来期の人件費予算ドラフト作成。期限は来週の金曜と聞いていたから、ひとまず大枠を作成して三戸さんに見てもらったところまでしか進めていなかった。
けれど逆に言えば大まかには確認してもらっている。そのときのアドバイスどおり進めれば、一次ドラフトとしてはひとまず問題はない、わけで。経営側から指摘があれば都度修正していけば良い話だ。
…………それならば。



