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昔のことを、あの日のことを、思い出すことがある。
わたしの両親は──とくに、父は過保護だ。それは今もだけれど、昔は今以上。だいじにだいじに育てられてきた。
常に守られて生きてきて、嫌な思いをすることはほとんどなかったけれど、さみしい思いをすることは少なくなかった。
小さいころのわたしはおうちの近くに友だちがいなかった。理由は簡単。住んでる場所で割り振られる、公立の学校に通わなかったから。
両親はわたしを小学校から大学までエスカレーター式で上がれる私立の女子校に入れた。年長さんのわたし、ぱくぱくと知らないおとなとおはなししたことを覚えている。
学校に行けば女の子しかいなくて、身近な男の子と話す機会はほとんどなかった。思い返せば過保護な父がわたしから男の子を避けていたのかもしれない。わたしが、傷つかないように。
そんな環境で、唯一話すことができた地元の友だち兼男の子。わたしの、たったひとり。



