「お嬢せんぱ〜い、にやついてる!」
「……え。わたしにやついてた!?」
「うん、にやついてた〜!お嬢先輩くらい可愛くないと許されないニヤつきかたでしたよ」
パソコンの前、ひとりでにやにやしてしまっていたらしい。斜め前に座る涼名ちゃんに、若干冷ややかな目を向けられて指摘されてしまった。
あぶない、わたしの表情筋と思考回路は直結していて、凪のことを考えるともれなくゆるむのだ。逆に、わたしのほっぺを自然とゆるませてくれるのは凪だけ。
「(いけない、集中しなきゃ)」
気を取り直してパソコンの画面に目を向ける。さっき途中になっていたメールチェックをしようとすれば、紫色のチャットアプリ左上、不意に赤色の"1"が灯った。それは紛れもなく、新着メッセージのしらせだ。
誰からだろう。凪か、この距離にも関わらずよく送ってくる涼名ちゃんか。それとも部内チャットか。
考えを巡らせて、ひとまず中身をチェックすれば、それはまったく想像すらしていない人からのものだった。



