「なんでしょうか! 三戸さん」
凪不足で空っぽになったこころと反するように、はい!と元気よく立ち上がった。先輩とお話するときは目線を合わせる(三戸さんはわたしより元の身長が高い上にヒール高めのパンプスを履いているけれど!)。
入社前、凪と一緒に職場マナーはお勉強したんだ。「あいかわらず元気があってよろしい」と控えめに微笑んでから、本題を続けた三戸さん。
「来期の人件費予算のドラフト作成お願いしたいのだけど、頼める?そのあとの予算案本提出までお嬢にお願いしようかな〜と思ってるの。どうかな?」
「わ、わたしにそんな大きなお仕事を……?」
「そうよ〜、プレッシャーかけるわけじゃないけど大役よ。お嬢ならもうお任せしてもいいかなって思って」
この仕事は元々三戸さんやほかの先輩がたが受け持っていたものだ。上司のチェックが入るとはいえ、今期が中計──中期経営計画──ラストの年だから、当然そこにも関わってくる数字なわけで。
あらたな中計初年度の予算案、責任は重大だ。任せていただいた期待を裏切らないようにしないと。



