ながされて、絆されて、ふりむいて



「……ねえ、凪? ほんとに凪のこと、すごいなって思ってるの。だから、だからね? 凪くんえらいから、花鈴ちゃんがお願い聞いてあげる」



……あ、また。可愛くない言いかたしちゃった。凪の前で素直になりたくないわけでも、ツンとしたいわけでもない。


だけどもうずっと、凪に近づいては線を引く、その接しかたを繰り返してきたせいでうまく素直になれない。



「……花鈴、本当?」


「うん、ほんと」


「じゃあ、いっこだけ」



わたしを抱きしめていた腕を離した。そのまま、お姫さまみたいにベッドまで連れられて、ふわふわマットレスの上でさっきとおなじようにぎゅうっとされた。


ベッドの上、吐息のかかる距離にいまでもどきどきする。至近距離で彼を見つめれば、さっきさみしさを宿した瞳が桜みたいにあまく色づいてわたしに伝染させた。



「…………俺以外の男と会わないで」



ふわり、ほっぺだけじゃなくて心のなかも凪のいろで染められてしまった。きゅん、と音を奏でる。