「ね、なぎ」
ゆっくりと、包み込まれた身体の向きを変える。向き合って見上げれば、セットされずにおろされた前髪からのぞく視線と交錯した。
「凪はすごいね」
「や、べつに全然」
「ううん、すごい。ほんとはみんなに自慢したい」
「いいよ、しても」
「だめ、バレちゃう」
「そっか」とさみしさのブルーを瞳の奥にいろづけて、わたしを見下ろす。大きな手が髪をゆるやかに撫でる、その感覚が心地よくてしかたない。
こうしてくれることが、幼なじみへの義務とか情とか、そういうものでなければいいのに。凪に色めくさみしさが本物ならいいのに。



