……かわいく迎えるつもりが、またわたしかわいくないこと言ってる。今日は栞さんと約束したのに。それでも目の前の彼は柔らかに笑みを向けてくれる。
すらっとしたシルエットにスーツがよく馴染んでいて、涼名ちゃんもめろめろになっちゃうよね、と再確認。かくいうわたしも。
「そっか。"今日も"選んでくれてありがとう、お嬢」
「……その呼びかたやめてよ」
「はは、ごめん。ただいま、花鈴」
「おかえり、凪」
今日お昼に言われた"おかえり"を、今度はわたしが言った。
花鈴、って呼んでくれるのが嬉しい。凪には児玉さんでもお嬢でもなく、花鈴って呼んでほしい。って、そんなわがままはここでだけで、会社では絶対に言えないけれど。
でもまちがいなく、きみだけのものだよ。
凪が革靴を脱ぐ。迎えて、その場から動かないわたしに疑問符を乗せていそうな顔を向ける。



