ながされて、絆されて、ふりむいて



「わ、茅野くんごめんなさい!わたしがこの時間設定したのに!え、ごめんなさい、忙しいのに!」


「はは、大丈夫だよ。今日は朝からバタバタしてたし、ここでちょっと休憩できて良かった」



凪とふたりでミーティング(もちろん仕事)なんてこと滅多にないから忘れるはずないのに。凪の表彰と栞さんのハッピーさですっかり抜け落ちてしまってた。



「(凪、すっごく忙しいのに)」



時間を奪ってしまって申し訳なさすぎる。なのに彼は気を遣って眉を下げて笑うから、いますぐぎゅってしたくなってしまう。



「でも、お嬢先輩がこんな凡ミスするの珍しいですよね?茅野さんもそう思いません?」


「うん。児玉さん、同期の間でもしっかりしてるってよく話題になるよ。珍しいよね」


「いやいや……わたしなんていつもこんな感じです……」



いま、わたしと凪はただの同期だ。しかも関わりの薄い同期。涼名ちゃんの前で必死に演じるのだ、関係の浅そうな同期を。



「茅野くん、14時まで時間もらってたけど、14時半までいけますか?」


「うん、大丈夫。どうせ営業部戻っても部長に捕まるだけだし。パソコンとか書類とかゆっくり準備してね。向こうのミーティングスペースで待ってる」


「すぐ行きます……!」



立ち上がった凪を見送って、慌ててランチセットをデスクの中に仕舞い込む。打合せに必要なノートパソコンと書類を準備する。