「凪くん、そんなひとかな?すくなくともわたしが花鈴ちゃんから聞く凪くんは、誠実だと思うよ」
柔らかなことばは、わたしのかたいこころをほぐしてくれる。
「……勇気、出してみようかな」
「もし凪くんが花鈴ちゃんにひどいことしたら花鈴ちゃんのお父さんが黙ってないと思うし、そのときはわたしも旦那と一緒に懲らしめに行く」
「ふふ、それは心強いかもです!」
わたしのお父さんは家族にだけ甘くて、周りにはすごく厳しい人だ。わたしを小学校からエスカレーター式の私立一貫校に入れるくらいには過保護だし。
栞さんと直さんは、世界中の夫婦を集めて穏やかカップル選手権を開催したら確実に優勝すると思う。そんなふたりが「懲らしめる」なんて想像がつかないけれど、そう言ってくれる存在がいることに安心の笑みが溢れた。
「あ、そうそう。まだ会社の人にも言ってないんだけどね」



