「この間、凪が異例の営業デビューした!ってお話をしたじゃないですか。なんと、もう月間成績優秀者として表彰されてたんです〜!さすがですよね!さすがわたしの幼なじみ!同期!エース!すきなひと!!」
当のわたしは穏やかさのカケラもなく、勢いよくひとことでぱ〜っと言いたいことすべてを放った。それも栞さんがわたしの早口をどんと受け止めてくれるから。
やさしい微笑みから、目が少しだけ見開かれて、小さく拍手する栞さんの仕草。こういう小さなところも上品であこがれだ。
「え〜すごい!凪くんさすがだね。リンノアほどの大きな企業で周りも優秀なはずなのに。花鈴ちゃんも鼻高々だね」
「そうなんです!わたしまで誇らしくって!だけどそんなの社内の人には言えなくて……」
本当は言いふらしてしまいたい。凪、すごいでしょう、さすがでしょう!って。
だけどたぶん、まわりに言ったら、こんなに近いのに遠い関係であるわたしが惨めになる。
幼なじみで同期、わたしは茅野凪のことがずっとずっとだいすき。それなのに、きみはわたしのこと眼中にない。大事にしてくれるけど「すき」じゃない。ぽと、とさみしさがこころに落ちる。



