加えてここが、栞さんと出会うきっかけにもなった。受験シーズンではなくて、お父さんにお届け物を届けた高校一年のとき。
栞さんは"あのひと"のことを知っていて、わたしがお父さん──児玉教授の娘だと知ってピンと来たのだと言う。
それから、あこがれの具現化のような彼女とここまで縁が続いていることは奇跡みたい。
「……懐かしいな。二年しか経ってないはずなのにここに通ってたのがすげー前に思える」
本部棟までの一直線、となりを歩く凪が溢す。同じことを考えていたみたい。
「おんなじこと思ってた。けどわたしはお父さんと栞さんに会いに高校のときから来てたから、けっこう前なのは事実かも」
「あぁ、教授には会わなくて平気?」
「うん。水曜は他の大学の講義日なんだって」
「あぁ、そうなんだ」
凪ほど歩き慣れていないキャンパスのコンクリートをローファーパンプスで鳴らす。



