「(ほんとはわたしも涼名ちゃんとおなじくらい、いやそれ以上に凪がすきで凪推しなんだから!)」
……とまあ、そんな対抗はもちろん、こころの中でだけ。さすがに大人になってまで、他の人にマウントを取るようなこともない(今までだって取られたことはあっても取ることはなかったけれど!)。
国見大学の就職説明会。今日は直帰予定でこのままずっと凪と二人きりだ。
うれしさは表情に乗って表れているかな。凪があの日、泥酔してわたしの家に来て放った言葉を覚えていなくても。それに対してすこしだけもやもやを呼び寄せてしまったって。わたしは結局、凪がいればうれしいのだ。
……そうやって、うれしい、と言い聞かせる。煮詰まったどろどろが溢れそうなコップには蓋をする。
"──もう、幼なじみなんてやめようよ"
あの言葉の真意はまだ、聞けていない。
飲みのことみたいにきっと覚えていないからわたしからは口を噤む。傷つきたく、ないから。今までだってこうして見ないようにしてきた。



