そんな彼が机に肘を置いて頬杖をついた。「でも、」と静かに落として、少し首を傾げるようにわたしに微笑む。
「俺は、児玉さんに慕われたいけど」
「……え、」
……どういう意味なのか。自然にさらっとそんなことを言うから返す言葉がうまく出てこない。
上手く返せず困ったわたしを見て、ちょっぴり揶揄うように笑いかけてきた。
「なーんてね? 反応がずっとかわいいね、やめらんない」
「か、からかったんですか……!?」
「さぁ? ところで飲みに行くの、来週の金曜でどう?」
淡いブラウンの双眸がわたしを射抜く。その瞳にまっすぐ見つめられたら大抵の人間はすぐに落ちてしまうと思う。
わたしだって凪がいなかったら、と何度思ったことか。……だけどやっぱり、揺るがない。
「あー……えっと、それは……」
「あぁ、日にち都合悪い?」
……違う、日にちが、ではなくて。そもそもわたしは飲みに行くとは行っていないし、名波さんのペースに流されてしまっている。
もごもごと、紡ぐ言葉を頭で再構成にかかる。この間、珍しく泥酔して帰ってきた凪に「飲みも嫌だ」と言われてしまったから。だから、わたしは──……



