ながされて、絆されて、ふりむいて




トーク画面に映る凪のアイコンはわたしが撮ったものだ。


去年の冬、ふたりで北海道旅行に行ったときの、小樽運河前でのベストショット。

グレージュのチェスターコートと黒縁の伊達眼鏡が似合いすぎていて、待ち受けにしたいほどお気に入り。誰かに見られたら言い逃れできないのでしないけど!



寝るための準備を終えて、はじめてもらったボーナスでの北海道旅行を思い浮かべていれば、不意に玄関から物音が聞こえてきた。


──がちゃり、その音は確実にドアが開いたときのもの。


勝手に開くなんて恐ろしさを感じてもおかしくないけれど、ただひとり、合鍵を渡しているひとがいるから怖さはない。だってたぶん、そのひとだから。


ぱっと素早く身体を起こして、スリッパを鳴らしてぱたぱた玄関へと向かえば。わたしの予感は的中、合鍵を持つそのひとがいた。グレーのスーツに深い青のネクタイは、落ち着いた彼のの雰囲気によく合っている。