「茅野の同期の、児玉さん」
「……は、」
形のいい薄いくちびるは俺の好きな子の名前をなぞった。どういう脈絡か、想像が及ばない。
「可愛いよね。狙おっかなって」
わざわざ名波さんが花鈴に目をつける理由が見つからない。……と思ったけれど、花鈴の可愛らしい外見や、人懐っこくて周りを華やかに彩る明るさ、丁寧な仕事ぶり、エトセトラ。挙げていけばキリがなく、"わざわざ"に当てはまってもおかしくない。
嫉妬、独占欲──花鈴への勝手な感情が滲み出てしまいそうで、ぬるくなったビールを流し込んだ。
上手く反応ができないのを、見透かしていそうだ。24になってまでガキすぎる自分に嫌気がさす。
名波さんは俺の言葉を待つこともなく続ける。



