ざわめきが飛び交う半個室。最若手である俺が押さえたこの店は、営業部の先輩に教えてもらった場所だ。
会社から程近く、きっかり五千円でビール有りの二時間飲み放題付きコース、喫煙可能な掘りごたつは利用頻度が高い。この店を発見した先輩方には頭が上がらない。
ひとたびアルコールが入れば、集まったエリートたちも普遍的なサラリーマンと化す。先輩方に呼ばれてはお酌をして酒に付き合う。ホワイトで現代的な企業といえど、従前の文化が全て消え去ることはない。
気疲れが積もり始めた終盤、丁度空いた俺の隣に腰をかけた人物が、ひとり。ふわっと甘い香りが辺りを漂った。花鈴とはまた違う甘さだ。
「となり、いい?」



