ながされて、絆されて、ふりむいて



──いつからだろう、俺の中心はずっと花鈴だった。

……あの日から、だろうか。いや多分、気づいていなかっただけでもっと前だろう。



ビル内の休憩スペースで、机に突っ伏せながらスマホをぼんやり眺める。無料でコーヒーが飲めるラウンジ。午後も突っ走るためのカフェインを摂取しながら、メッセージアプリのアイコンに癒しを求める。


いくら歳を取ったって、同じ時間を過ごしたって、花鈴に対しては臆病なままだ。


この恋のはじまりがわからなければ、ゴールもわからない。



▫︎◻︎



総勢20名ほどのプロジェクト。会社規模にして人数は多くないけれど、元からこの会社は少数精鋭のチーム制を取っていた。


今回は各部から部長の推薦という形で集結したメンバー。二年目の自分を抜擢してもらったことは素直にありがたく、今後にも活きてくるだろう。新しい商品やサービスを、普段関わりのない他支社や他部のメンバーと作り上げていくのは貴重な経験だった。