ながされて、絆されて、ふりむいて




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オープンスペースでの軽い打合せ中、華奢で可愛らしい女性社員と目が合った。女性社員なんて他人行儀すぎる、0.1秒でも視界に入っただけで彼女をすぐに認識できる。


それくらい常に近くに花鈴がいないかアンテナを張っているし、基本的に思考を支配するのは彼女だから当然だ。はは、俺けっこうキモい。心の中で自嘲を灯す。


自惚れでなければ俺専用に届けられた視線に、打合せ相手である先輩の目を盗みながら手をひらりと揺らめかせる。気がついた花鈴も同じように、見えにくい位置でちいさな手のひらがゆらゆらとひらる。


花鈴が俺を見てくれれば今すぐにでも付き合って、というかプロポーズして、正式に俺だけの女の子ですって言いふらすのに。花鈴はそれを望んでいないから、できないわけで。……自分の不甲斐なさにあきれる。



「……聞いてる? 茅野」


「……あ、はい、聞いてるっす」


「なに、いい女でもいた?」


「まさか」