ながされて、絆されて、ふりむいて



──ぜんぜん。ぜんぜん、名波さんに興味がないはずなのに、こんなのは不可抗力だ。


見た目が整っているだけではなんとも思わないけれど、凪以外の耐性がない(凪に対してだってほとんどなくてどきどきの日々なのに!)わたしに、耐えられるはずがない。


どれだけわたしが凪にしかときめかなくても、不意にあの香りと端正な顔が近づかれれば調子も狂う。たぶん耳は真っ赤で、名波さんには気づかれていたはず。



「……しっかりして、わたし!」



喝を入れるようにひとりきりの空間にこぼして、くい、と頬をつねった。じわり、痛みがにじむ。


それから一瞬だけ凪のほうを振り返ったけど、彼のやさしくあまい眼差しは打合せ相手へと伸びるばかりで、もう、視線は重ならなかった。



◻︎▫︎