──ぜんぜん。ぜんぜん、名波さんに興味がないはずなのに、こんなのは不可抗力だ。
見た目が整っているだけではなんとも思わないけれど、凪以外の耐性がない(凪に対してだってほとんどなくてどきどきの日々なのに!)わたしに、耐えられるはずがない。
どれだけわたしが凪にしかときめかなくても、不意にあの香りと端正な顔が近づかれれば調子も狂う。たぶん耳は真っ赤で、名波さんには気づかれていたはず。
「……しっかりして、わたし!」
喝を入れるようにひとりきりの空間にこぼして、くい、と頬をつねった。じわり、痛みがにじむ。
それから一瞬だけ凪のほうを振り返ったけど、彼のやさしくあまい眼差しは打合せ相手へと伸びるばかりで、もう、視線は重ならなかった。
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