ながされて、絆されて、ふりむいて



意味のないおうむ返しをしてしまった。理由を伏せる形で書かれていたから、てっきりマイナスが絡んでいることかと思った。


妹さんの結婚だなんて、その字面だけだと大幅なプラスでしかない。それに、言葉を発した名波さん自身が穏やかに表情を緩めているから、絶対にネガティブな話ではない。


……そしてそのやさしく、やわらかい曖昧な表情にすこしだけ。本当にすこしだけ、どき、と心臓が鳴った気がした。



「うん。妹には金銭面で色々我慢させちゃったから、結婚式くらいはどれだけお金がかかっても理想を叶えてほしくて。妹も旦那もきちんと稼いでるけどさ、半分俺のエゴ」



シスコンすぎるかな、なんて乾いた笑いをこぼした名波さん。彼と妹さんのことをよく知っているわけではないけれど、とても素敵な理由だと思った。


わたしにも穏やかさが舞い落ちるようで、つられて口角がゆるむ。