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ぱち、と目がひらく。
ぱさ、とシーツがゆれる。
となりをかくにん。……ちゃんと、いる。いてくれている。黒くゆらめく前髪がかかったまぶた、わたしと同じようにひかりを取り入れてゆく。長いまつ毛がゆっくりと上を向く。
「──花鈴、ねむれた?」
まだ完全に開ききっていないきれいな瞳が、わたしのほうへと寄越された。視線といっしょに声色にも乗っかかった温もりに、どうしようもなく、なきたくなる。
「うん、眠れたよ」
「良かった。身体は大丈夫?寒くない?」
「大丈夫だよ。凪、昔から過保護なんだから」
「心配だから、花鈴のこと」
「……っもう、」
視線だけわたしに預けて横たわったままの彼へ、触れるだけの口づけを落とした。これは、ごまかしのキス。わたしの顔があかくなってしまったのを隠すため。カモフラージュ。



