吸い込まれるようにして入った部屋には、異様な光景が広がっていた。
そこには、壁中に…床中に…天井中に…全てを埋め尽くすように人の絵が並んでいた。
「こ…こ…れは…。」
足の踏み場がない、電気をつけることもできない、でも、明らかに一つ言えることは…。
絵の中の人が、皆、僕を突き刺すように睨んでいる。
「うわっ…!ひっ………。ご、ごめんなさい…。」
カーテンのせいで暗闇だった美術準備室が、太陽が落ちてきたことにより、明かるくなっていく。
そこには、見知った人の顔もあった。
タイトル、と書かれている所には
「白石綺羅」「矢羽根咲」と書かれている。その他も、クラスメイトの顔が描かれていた。
1200人分は、あるだろう。
きっと、美術の授業で自画像を描く、というものがあったのだろう。
そうでなければ、こんなにたくさんの人の顔を…。
でも、違和感は絶えず…。
みんな、一緒なんだ。同じような絵なんだ。
同じタッチ、同じ顔、同じ服。
でも、違うんだ。みんな、一緒なのに、一緒じゃない。みんな一緒なのに、なぜかこの絵の人は、白石綺羅で、こっちの絵の人は矢羽根咲だって感じてしまう。
そのとき———。
「ねぇ、帰らないの?帰らないなら、閉じ込めちゃうよ?」
背中から冷たい女子の声がした。
「うわっ…。まだ、帰ってなかったの?咲。」
「これ。」
そう言って、咲が僕に渡したのはたくさんのカギが入っているポーチだった。
「私、もう帰るから。カギ閉めて、職員室に帰して。」
え、ちょ、ちょっと!と、僕が止める間もなく、彼女は軽い足取りで去っていった。
一人になった校舎で、僕は何故か「なにか」を感じた。
妹と話したときに、絶対に毎回言われる言葉がある。
「お兄ちゃん。私が通っている学校は、6時には先生たちまでもが消え去るんだよね。早くない?もう少し友達と話していたいのに…。」
今の時間は…!
5時39分
「大丈夫だ…まだ、間に合う。」
僕は職員室に走り出した。なぜか、後ろから追いかけられているものを振り切るように走っていた。
「君!廊下は歩きなさい。怪我しちゃうでしょ?あら、見たことがない顔ね。転校生?」
はっ…!と、周りを見ると横には保健室、その奥には職員室がある場所まで来ていた。
(後藤恵美)と書かれている名札と、白衣から、保健室の先生だということがわかった。
「はい…。」
後藤先生は、僕の握っている美術室のカギを見つめて「私が返してあげるから、早く帰りなさい。」
僕は、そこで一つだけ思い出した。
『あ…僕、美術準備室に鍵かけるのわすれてた。でも、今更、なぁ…。』
正直に後藤先生に伝えようと思ったが、もう保健室にはいなかった。
そこには、壁中に…床中に…天井中に…全てを埋め尽くすように人の絵が並んでいた。
「こ…こ…れは…。」
足の踏み場がない、電気をつけることもできない、でも、明らかに一つ言えることは…。
絵の中の人が、皆、僕を突き刺すように睨んでいる。
「うわっ…!ひっ………。ご、ごめんなさい…。」
カーテンのせいで暗闇だった美術準備室が、太陽が落ちてきたことにより、明かるくなっていく。
そこには、見知った人の顔もあった。
タイトル、と書かれている所には
「白石綺羅」「矢羽根咲」と書かれている。その他も、クラスメイトの顔が描かれていた。
1200人分は、あるだろう。
きっと、美術の授業で自画像を描く、というものがあったのだろう。
そうでなければ、こんなにたくさんの人の顔を…。
でも、違和感は絶えず…。
みんな、一緒なんだ。同じような絵なんだ。
同じタッチ、同じ顔、同じ服。
でも、違うんだ。みんな、一緒なのに、一緒じゃない。みんな一緒なのに、なぜかこの絵の人は、白石綺羅で、こっちの絵の人は矢羽根咲だって感じてしまう。
そのとき———。
「ねぇ、帰らないの?帰らないなら、閉じ込めちゃうよ?」
背中から冷たい女子の声がした。
「うわっ…。まだ、帰ってなかったの?咲。」
「これ。」
そう言って、咲が僕に渡したのはたくさんのカギが入っているポーチだった。
「私、もう帰るから。カギ閉めて、職員室に帰して。」
え、ちょ、ちょっと!と、僕が止める間もなく、彼女は軽い足取りで去っていった。
一人になった校舎で、僕は何故か「なにか」を感じた。
妹と話したときに、絶対に毎回言われる言葉がある。
「お兄ちゃん。私が通っている学校は、6時には先生たちまでもが消え去るんだよね。早くない?もう少し友達と話していたいのに…。」
今の時間は…!
5時39分
「大丈夫だ…まだ、間に合う。」
僕は職員室に走り出した。なぜか、後ろから追いかけられているものを振り切るように走っていた。
「君!廊下は歩きなさい。怪我しちゃうでしょ?あら、見たことがない顔ね。転校生?」
はっ…!と、周りを見ると横には保健室、その奥には職員室がある場所まで来ていた。
(後藤恵美)と書かれている名札と、白衣から、保健室の先生だということがわかった。
「はい…。」
後藤先生は、僕の握っている美術室のカギを見つめて「私が返してあげるから、早く帰りなさい。」
僕は、そこで一つだけ思い出した。
『あ…僕、美術準備室に鍵かけるのわすれてた。でも、今更、なぁ…。』
正直に後藤先生に伝えようと思ったが、もう保健室にはいなかった。


