恋のシンドローム



俺にとって母さんはどれだけ大きな存在だったか、痛感した。


まだ幼い珀斗は、眠っている母さんの顔を見て、


「ママー、なんで寝てるのー」


頭を軽く叩きながら、横たわる母さんに話しかける。


「珀斗、やめろ」


「ママ、寝てるんだもん、」



「…ママ、もう…起きないんだよ」


幼い弟に告げるこの言葉は、どんな言葉よりも辛く、悲しい現実だった。


目の前で泣き始める珀斗を、強く抱き締めた。


あの日、母さんが言った言葉。

「珀斗のこと、よろしくね」


あんな事を言って去っていくなんて、卑怯すぎる。


当時中学2年だった俺は、葬式の日、震える弟を抱え、母さんを見送った。