クス、と笑いながら、控えめに腕を広げる。
瞬間、目を見張った葵くんの顔が打ちのめされたみたいになった。
痛いよね、ごめんね。
でも、目を覚ましてね。
余裕顔を貼り付けながら、心の中で懺悔する。
ここまですればもう何も言ってこないだろう――
そう思ったのに。
意を決したみたいにポンと床を蹴った葵くんが、そのまま私に突っ込んでくる。
体当たりみたいな距離の詰め方だったのに、抱きしめる力はふわりと弱く優し過ぎた。
肺を満たす、清涼感のある匂い。
――私は今、葵くんの腕の中にいる。
驚きすぎて、表情も体も思考も全て停止した。



