「何でもいいでしょ。 というかなんで葵くんはあそこにいたの?」 ――偶然図書室に入っていく優里と、後から来た男を見かけたから。 なんて本当のことを葵くんは言えない。 「……図書室に用事があったから、だけど……」 「ふーん、そっか。」 重い沈黙が落ちる。 苦しそうに俯いていた葵くんの顔が、少ししてゆっくりこっちを向く。 泣きそうなくらい崩れたへたれ顔が、あまりに誠実で真っ直ぐで、心臓を揺さぶった。